アパート経営で資産を作ることができる。などと最近、ネットの記事どころか書籍などでもそのようなキャッチコピーを大々的に広告されることも多くなりました。
その上、昔人気だった芸能人がアパート経営で生活をしているという後押しもあって、アパート経営は儲けることができる、と思われる方もたくさんいます。
ところが、それは大きく誤った認識です。アパート経営のためにアパートを購入したとしても、その際にローンを組めば、それは純粋に自分自身の資産が増えたのではなく、ただ単純に借金が増えただけに他なりません。
さらに言えば、ローンが多額になればなるほどに、借金の総額は大きくなるので、多額の借金を背負っている非常に危険な状態になってしまうことでもあります。
アパート経営にはこのようなリスクが潜んでいるのですが、これらを表だって知らしめるような書籍などもほとんどありませんから、ついつい騙されてしまうのです。
なお、他にもアパートの経営にはたくさんのリスクが存在しますので、それらをきちんと把握した上でアパート経営をスタートすることをおすすめします。ただし、あくまでも上手に経営ができる人だけに限りますが。
●アパートとマンションはどう違うのか
まずは、アパートとマンションの違いを知りましょう。とは言っても、法的な明確な違いは存在しておらず、不動産業界の慣習として、建物の構造を基準として分類されていることがほとんどです。
その場合は、アパートは木造建築、プレハブ、軽量鉄骨で作られている物とされ、マンションの場合は、鉄筋鉄骨コンクリート造、重量鉄骨などで作られている物とされます。
なお、今回はアパートで最も多い木造建築のものをアパートとして定義して紹介します。
●アパート経営に失敗する人達に共通する七つの項目
アパートの経営に失敗をしている人達の多くが、以下に挙げる七つの項目について、あまり調査をしていなかったり、それらに該当するアパートを購入して運営を行っているということが言えます。
少なくとも、これらを回避すればある程度はリスク回避ができます。しかし、アパートの経営自体が最近では資産運用の中でもリスクの大きなものとして考えられるようになっており、実際にアパートの賃貸経営で成功する人は稀ですので、以下のことに注意しながらも、さらに成功するためのノウハウなどを様々なところで吸収している必要があると言えます。ですので、これらだけを参考にはせずに、実際に経営をしている人から話を聞くなどして、十分な準備を行ってからアパート経営に踏み出すといいでしょう。
・立地が悪い
まず、一つ目は立地が悪い事です。アパートを購入される際にはできるだけ安い物件がいいと思って、そのような条件で探される方が多い事でしょう。そして、言われるままに購入をすることも多々あります。
しかし、そうするのはかなり早計です。実際に具体的な物件情報を紹介してもらい、紹介されたアパートの周辺をくまなく歩いて様子を調査するようにしましょう。そうすれば、アパートの周辺に、空き地、駐車場、農地、倉庫、工場と言った土地がたくさんある場合が多いです。
さて、そのような物件にあなたは住みたいと思いますか。アパートを探す際には、ほぼ全ての人が、駅の近く、会社や学校の近くなどの条件に絞って探すはずです。ですので、上記に挙げたような辺鄙なところにある安いアパートだと、ほぼ確実に入居者が全然現れないことでしょう。つまりは、賃貸経営には明らかに向かない物件なのです。
それなのに、そのような物件を購入してしまうのは決していい選択だとは言えませんので、注意をすべきでしょう。
ただ、立地的に素晴らしい物件は、ほぼ確実に所有者がおり、個人で購入をするのも難しいと思います。なので、これからアパートの経営を始めようと思っていても、このような立地の悪い物件しか残っていないからこそ、なかなか成功にこぎつけることができないと言えるのです。
・購入資金が高すぎる
次の項目は、購入資金が高すぎることです。中でも都心のアパートは中古であっても5000万円以上は必ずかかります。さらに土地の料金もかかり、都心の駅周辺にもなると億を超えることも珍しくはありませんので、個人が手を出せる金額ではありません。
もちろん、アパートだけであっても、ローンを組むことができます。ただ、ローンを頼りにして賃貸経営をスタートしても、全ての借金を返済するための資金源は、家賃収入だけになります。
中古物件であればなおさらですが、そもそもそんなに入居者が現れないこともあり、収入は全然増えませんし、その上家賃を上げる訳にも行きません。むしろ、家賃を下げなければ入居者が現れないということも考えられるので、収入は減るばかりです。ローンは金利が一定だとも限らないので、金利が挙げれば余計に苦しい生活を強いられることになります。
また、入居者が多少現れて、金利が上昇したときに繰り上げ返済をしたときにも、借金の分母そのものが大きいので、返済をしても全く効果はありません。
つまりは、購入資金が高すぎるために、並の生活をしている人達が資産運用のためにアパート経営に手を出したとしても、借金を背負い続ける非常に危険な状態が何十年も続くことになります。
そして、自分自身が生きている内に返済ができなければ、その負債は子供たちに相続されることにもなりますので、自分だけではなく自分の子供たちへも迷惑をかける可能性もあるのです。
・家賃のせいで敬遠される
賃貸の需要は、ここ最近ではかなり減少しています。都心であればまだまだありますが、郊外や地方ではもう壊滅的です。
それにもかかわらず、今現在新たなアパートは続々と建設され続けています。主に、そのアパートの所有者は既に土地を所有している地主です。要するに、土地の運用を考えて、アパートの経営に踏み出す人達です。
そのような人達と、アパートを新たに購入する人達、供給過剰となった現在では空き家を少しでも減らすために、この人達との間で家賃の値下げ競争が苛烈に追壊れることになります。
ところが、新たにアパートを購入する人達は、すでに土地を持っていた人達にかなうはずもありません。なぜならば、地主はもともと持っていた土地を運用するだけなので、土地代がタダとなるので、ローンの代金も少なく、家賃の値下げをスムーズに行えるからです。その上、立地条件も悪くないと来たら、新規のアパートのオーナーはどうすることもできませんね。
空き部屋はどんどん増えて、ローンも支払うことができず、修繕費やら何やらで出費が加算して、負債は増えるばかり。このようなオーナーはたくさん増えています。そして、実際にあなたがアパートを購入した先の未来がそのようなことになってしまわないとも限りません。むしろ、そうなる未来しか待っていない可能性の方が高いでしょう。
・見栄えと修繕費
中古のアパートを購入すると、木造のアパートは老朽化によって外観がかなり古びたものになっていることでしょう。そのようなアパートに引っ越しを考える人は少なく、選択肢に上がるどころか内覧をしてもらえることも極端に少なくなります。
そのために、アパートのオーナーは定期的にリフォームを行うことになるのですが、この費用も自分持ちになります。
また、10年や20年で屋根材や壁材の塗装や張り替えも必須となり、このような修繕コストも加算します。たった1回で10万、高いところでは100万円を超えることも少なくはなく、部屋毎のエアコンや給湯器の補修までも自身のお財布から捻出しなければなりません。
修繕費に関しては、積立を行うことでなんとかカバーをすることができますが、空き部屋が増えれば増えるほど、積立金のための収入も減りますし、ローンの返済も滞ることもあり、積立金を泣く泣くあきらめることも少なくありません。
しかし、積立金を止めるメリットも一切存在せず、老朽化が進んで、建物の寿命を縮め、入居者が全く現れずに、破産をするしかなくなる、ということも十分に考え得ることでしょう。
・火災や地震
アパートはほとんどすべてが木造です。そうなると、火災や地震によって全焼や全壊が非所に起こり易くなります。
そのために、火災保険に加入することになるとは思いますが、保険金だけで立て直すことは難しく、その上ローンは支払いつづけなければならず、家賃収入も途絶えてしまうという最悪の状況になってしまいます。
マンションであれば、火災が起きても一室だけが焼けるだけにとどまり、修繕費も大して翁金額にはなりませんし、火災保険で得られるお金から復旧費用を差し引いたとしても、手元にお金を残すことも難しくはありません。
そう考えると、明らかにアパートの方が火災などによるデメリットが大きすぎるのです。
地震などで倒壊した場合に、入居者が亡くなった時には家主に責任が問われるということもあり、そのせいで損害賠償を支払ったというケースも大地震などの後にはいくつもおこりました。
万が一のことに備えることは、アパートのオーナーとして当然のことなのですが、資金面から見てもそれが難しい人も多く、実際問題、実現するのはなかなか難しいでしょう。
・騒音
木造アパートだと、近隣や上下階間でのトラブルとして最も生じやすいのが、騒音問題です。騒音問題は居住者間で解決するのが一番いい事ですが、実際にはオーナーまでも巻き込んで解決するということが多いです。
その上、騒音はなかなか直さない入居者もたくさんいます。自分では騒音だと思わないから、などという理屈で全く解決することが無いために、入居者が出て行くこともあります。また、騒音被害を訴える人の中にも、多少の生活音までも気になるという神経質な人もいますから、そのような人を入居させると、酷く面倒なことになるのは間違いありません。
けれども、入居者が少ないせいで、収入がほとんどない零細アパートオーナーとしては、どのような入居者であろうとも、入って家賃を支払ってもらいたいというのが現状ですから、結局は騒音被害を回避できない、ということも少なくはありません。
本当に騒音トラブルを解決して、入居者の住環境を守るのは非所に難しい事なのです。
・建て替えや売却
上述の通り、アパートは老朽化が非常に早いです。多少の改修程度で済むような老朽化であればいいのですが、建て替えを要するような場合には、入居者に立ち退きをしてもらう必要があります。
しかし、この立ち退きには時間とコストがかなりかかります。立ち退きをしてもらえるかどうかは、最初の契約内容にもよりますが、かなり難しく、全員が首を縦に振ってくれて、滞りなく立ち退きをしてもらえることは滅多にありません。
中でも、高齢などが理由で次の転居先が見つからない人はたくさんいます、たった一人でも退去できない人がいれば、建て替えはできませんし、全員立ち退くまでに何年も時間を要するケースはいくつもあります。そして、最終的に立ち退いてもらうために立ち退き料を支払うことになる、ということも珍しくはないのです。
また、中古のアパートを購入して建て替えることを前提とするのであれば、初めから更地を買っておいた方が立ち退きなどの手間が無く、スムーズに進めることができます。また入居者のいる古いアパートを購入するのであれば、全世帯の人達に次回の更新契約はしないという同意を取り付けておいた方がいいでしょう。
ただ、古くなったアパートを取り壊して、更地に売却することや、新たに物件を建てたりする場合には、その土地の将来の利用価値が残っていることが前提です。実際に取引されている更地や古いアパートの多くは、晒し物件となっており、全く利用価値が無いということはちっとも珍しくないことですので、軽い気持ちで購入するのはあまり向かないと言えるでしょう。
●まとめ
いかがだったでしょうか。上記に挙げた通り、アパートの経営には非常に多くの問題が取り巻いています。アパート経営で成功している人もいますが、それはほんの一握りで、ほとんどの経営者は失敗したと思っています。
特に、郊外や地方でアパート経営をしている人には当初の利回りを実現できず、不良債権ばかりを背負い続けていると言う人も少なくはありません。
正直なところ、日本の現状を考えれば、アパート経営は賢い選択だとは言えませんので、止めておいた方が無難です。