田舎を中心に広く分布しているのが農地です。自分も両親も都会暮らしという方にとっては馴染みのないことかもしれませんが、上京していたり、どこか主要都市に県外から来られている方の中には、地元にある農地を相続されている、もしこはこれから相続をするかもしれないと言う方がかなりいらっしゃることでしょう。

しかし、その相続をした土地に関して、どのように活用すればいいか困っている方の割合もかなりを占めています。農地は農家でなければ、農業を行うことができませんし、田舎に住んでいてももう既に農家を辞めてしまっており、農地を持て余していることも少なくはありません。

それでも、折角相続したものですから何かしらに活用をしなければ、税金ばかりを取られてしまう何でもない土地になってしまいます。
そこで、おすすめの活用方法として紹介したいのが、太陽光発電です。太陽光発電はこれまでは農地を転用して活用する方法がありましたが、最近になって農業をしながらも太陽光発電をすることのできるソーラーシェアリングというものが登場しました。
こちらの登場によって、かなり農地の活用がし易くなりましたので、そのソーラーシェアリングを中心に紹介しながらも、遊休農地を収益物件に変えることのできる太陽光発電について詳しく紹介したいと思います。

●ソーラーシェアリングの登場で農地での太陽光発電がし易くなった

そもそも、太陽光発電自体は1970年代から日本でも始められていたのですが、設備費用が膨大であり、資金回収もうまくいかないことから、これまではあまり普及をしてはいませんでした。
本格的に普及をし始めたのは固定価格買取制度という、20年間は国に定められた固定価格で、電力会社が買い取るという制度ができて以降でした。

それ以降は、利用者が利益を上げることを前提として、太陽光発電を行っていたのですが、農地の太陽光発電は、さらに遅れてしまっていました。
学校の教科書か何かで、太陽光発電のパネルなどを見たことも、家の屋根に取り付けられたソーラーパネルを見たこともあることでしょう。

しかし、農地にそれらが見られなかったことには一つの大きな理由がありました。それは農地法という法律によって、農地を工作以外の目的で使用することができないからです。こちらは現在でも適用されており、農地で発電を行うためには、農業を行ったまま発電を行うか、もしくは農地を転用しなければなりません。
つまりは、農地法が足を引っ張って、農地の活用方法として長い間太陽光発電を除外してきていたいのです。しかし、その認識を改めることになったのが、ソーラーシェアリングの登場でした。

・ソーラーシェアリングとは
ソーラーシェアリングとは、新たに作られた概念で、実用化されるレベルとして公表されたのが2005年です。
そもそも、農業には太陽光が欠かせません。作物の成長には多くの光が必要となりますが、実際の太陽光の量は、作物を育てるのには十分以上の量があります。植物には一定以上の光を受けたとしても、それ以上は光合成ができない光飽和点というもがあり、それ以上与えたとしても、一定の光合成量を保つのです。つまりは、無駄な光が発生しているということになります。

ですので、その過剰になっている光を別の用途として、太陽光発電に使えないか、と言うことが考えられ、生み出されたのがソーラーシェアリングと言う概念です。
ソーラーシェアリングは、農地の空間に隙間を作り、その隙間に太陽光発電パネルを並べて、作物への日射量を十分に保ちながらも、発電を行うことができる、というまさに一石二鳥の活用方法なのです。
そして、このソーラーシェアリングを行うことで、耕作を続けながらも太陽光発電ができることになるので、農地法の規制外にはなりません。
このようなソーラーシェアリングを使う方法を営農型と呼びます。

●支出と収支について
農地の活用方法として、太陽光発電が候補に挙がっている理由が分かったかと思いますが、より重要なことはどれくらいの収支が得られるかです。
一般の方でもよく分かっていることだとは思いますが、太陽光発電にはさまざまな設備が必要で、それらを用意し、設置するだけであってもかなりのお金が発生します。実際問題、それらの設備費用などを回収することを含めて、どのくらいの収支を挙げることができるのでしょうか。

・設備に対する支出とそれぞれの方法による収入
まず、太陽光発電に必要な設備を列挙すると、太陽光発電パネル、接続箱、終電箱、パワーコンディショナー、キュー日来る、計測装置、さらに近くに電柱が無い場合は送電施栓が必要となり、初期費用として1kwあたりでだいたい30万円程度がかかると言われています。
当然、1kw程度では全く収支になりませんから、大体1反あたりの土地の広さでどのくらいの年収になるかを、転用型と営農型と比較してみましょう。
転用型は完全に売買目的で全ての農地を発電に使うことができるで、242万円程度になります。営農型は農業を行いつつなので、農業収入はあるものの、太陽光発電パネルを置けるエリアが限定されてしまうために、薬半分の138万円となります。

そして、これくらいの土地の広さともなると、初期費用もぐんとあがり、転用型は2240万円、営農型は1280万円となります。つまりは、営農型の場合は初期費用などもかなり少なくて済むのです。もちろん、土地を転用する際には造成をする必要もありますから、そのための出費も増えると考えると、初期費用ではかなり営農型の方がお得であると分かるでしょう。
ただ、どちらの場合であっても、最低でも10年間は運用しないと元を取ることができないことが分かります。ただ、逆に言えば、残りの10年で設置費用と同じだけのお金を稼ぐことができるとも言えます。

・固定価格買取制度で売電収入が安定化した
太陽光発電で発生した電気は上述の通り、20年間は固定価格買取制度によって、同じ金額で購入されます。
つまりは一定の期間ではありますが、買取価格は常に変わらずに、安定した収入を得ることができるのです。
なお、発電した電気に関しては、自宅などで自家消費をして余ったものを売却する余剰買取制度と、全てを売る全量買い取り制度がありますが、農地は後者に当たるので、住宅で販売するよりははるかに高い収入が入ってきます。
このような安定性も、農地で太陽光発電を行うことの大きなメリットでもあり、活用方法として注目されている大きな理由だとも言えるでしょう。

●農地の太陽光発電のメリットやデメリットについて
農地で太陽光発電を行うことには、当然メリットとデメリットもあります。その上、農地で太陽光発電を行う場合と、それ以外の土地で太陽光発電を行う場合との違いもありますので、農地で太陽光発電を行うことの特徴もしっかりと押さえて、よく調査をしておくことをおすすめします。

・農地で太陽光発電を行うメリット
農地で太陽光発電を行うメリットとしては、一つは自然エネルギーによるクリーンな発電ができること、二つ目は地価の影響で販売価格が変動しない安定収入があること、メンテナンスの労力が多くは無い事、日照時間に応じた発電量と売電収入が得られることです。

これらは当然、他の土地であっても同じようなメリットがあるとも言えます。しかし、農地であるための特徴として、農地の地価はかなり安く設定されていることが挙げられます。特に田舎だとかなり地価は低いので、その他の活用方法と比較しても、太陽光発電を行った方が効率的な収支を得ることができると言えるのです。
さらに言えば、農地が作られている場所は、今から何年も何十年も昔に作られた、農地に向いている場所であり、そのような土地は周りに大きな建物が無く、日照時間も長い傾向にあるので、太陽光発電を行うのにも絶好のポイントとなっているのです。それゆえに農地はただ単に太陽光発電をすることで得られるメリットを十二分に受けることができるのだと言えます。

・農地で太陽光発電をすることによるデメリット
デメリットとしては、10年以上の長い期間の運用を迫られること、送電設備が無いと初期費用が増加してしまうこと、転用型の場合には地番改良をする可能性が高い事、営農型の場合には耕作に著しい影響を与えることができないこと、が挙げられます。

一番最後については、後述いたします。農地で運用する場合には長期的な運用はそこまでデメリットにはなりませんが、例えば水田を転用して太陽光発電をする際には絶対に地盤改良が必要になります。
ある程度の制約を受けたり、しなくてはならないことが増えるのは、農地で太陽光発電をする上での大きなデメリットだと考えてよいでしょう。

●太陽光発電を転用型で行う
では次に、転用型、営農型それぞれの太陽光発電をする際に必要な事、注意事項を紹介しましょう。
まずは、転用型についてです。

・転用をする際に必要な許可と届出
転用型で太陽光発電をする際には、必ず転用許可の申請時に太陽光発電の計画が無くてはならず、太陽光発電を運営することを前提にした転用許可を受けなくてはなりません。
もしも、太陽光発電以外に土地を使うような工事をすると、工事の中止や農地に戻す命令を受ける場合もあります。
なお、転用の際には農地法に基づいて、農業委員会へ転用許可を必要としますが、市街化区域に該当する地域であれば届出のみで転用できることもあります。
また市街化区域外の区域になると、転用が許可される農地が、市街化が見込まれる第2種のうち、市街化が著しい第3種農地のみしか転用が認められないようになっているので、注意が必要です。

・地盤改良が必須となる場合も
転用は転用の手続きさえ行ってしまえば、他の土地と同じように所有者が自由に工事を行えるのですが、農地から太陽光発電のために転用する際に最も着目しなければならないのが、地盤の問題です。
これまでにも地盤の改良が必要になることがあるとは少し触れて来ましたが、太陽光発電の場合は、太陽光を受ける発電パネルを設置する際に、傾けてはならないという制限があります。そうしなければ、十分な太陽光を浴びることができないのです。
そのため、発電パネルの設置には架台が必要不可欠で、風圧などによって傾かないようにしっかりと地面に固定しなければなりません。
しかし、農地は畑や水田であり、それらの土質は非常に柔らかい物ばかりで、架台をしっかりと固定するためには、地盤の改良がほぼ必須となるのです。
当然、地盤改良のための費用は生産性にも大きく影響しますが、農地から転用する際には、どのような目的であっても、地盤改良をしなければならないケースも多く、転用の際には仕方のない物だと思っていた方がいいかもしれません。

●営農型(ソーラーシェアリング)で行う太陽光圧電
ソーラーシェアリングによる営農型の太陽光発電は、農地に支柱を立てて、上空に発電パネルを並べて設置し、作物に対しても必要最低限の光が当たるように、隙間の間隔を調整して並べるのが特徴です。

・一時転用許可と支柱の制限
転用をする際には、転用許可を得る必要がありました。営農型の場合だとその許可が不要になるのではなく、一時的転用許可を得る必要があります。こちらも、農業以外のために農地を利用すると言う観点から、そのような許可が必要となっています。
また、一時転用によって、恒久的な転用ができないような農地であっても、営農型の太陽光発電は行うことができるので、農業の副収入として注目されています。
当然、農業への労力も損なわれることはありませんし、メンテナンスもほとんど必要ではないので、行政も農業が維持されるのであれば、認めることが多くなりました。
ただ、営農型をする際には、発電パネルを上空に設置するために、支柱を設置する必要があります。
この支柱は単管パイプで積み上げる簡単に撤去できるようなものが使われることが多くなっています。その上、農地をコンクリートなどで固めることもできず、さらに太い支柱を使うと作物への日照に影響を与えてしまうために、このような簡易な支柱が使われることが多いようです。
ただ、どのようなパイプを使うのかは行政側と調整しながら決める必要があるので、農業委員会などと相談することで決定することができます。

・農業への栄養と報告義務
営農型は、あくまでも農業を行っていながらも発電を行うことが最低限必要な条件となっています。
そのため、農地の反収が地域の平均的な反収よりも2割以上減少しないこと、作物の品質が著しく劣化しないこと、農作業に必要な機械などの効率的な使用が妨げられないことが条件となっています。
また、一時転用は3年間を転用期間とし、4年目からはまた新たに一時転用の許可を必要となります。
そのために太陽光発電の株で生産された作物の状況は、毎年ごとに報告する義務が生じます。もしも、上記に挙げた条件を満たさない場合は、改善する必要がありますし、太陽光発電によって作物が生産されなくなれば、撤去をする必要があるので、注意をしなければなりません。

●まとめ
太陽光発電は、農業とかなり親和性の高いものであり、ソーラーシェアリングによって、収入が上手く上がらない農家にとっては、かなり大きな収入となるでしょう。
転用をする場合であっても、転用をしない場合であっても、どちらにも大きなメリットがありますし、その他の活用方法がとれないのであれば、一つの大きな選択肢となります。
ただ、太陽光発電は10年程度の償却期間が必要となりますので、転用型の場合は不動産としての流動性が下がってしまい、営農型は農業を必ず行わなくてはならないので、そのあたりのことは注意しなければならないと言えるでしょう。

▼(参考)太陽光発電システムの一括見積もりができます。