不動産の売却は、払い続けてしまう固定資産税を無くすこともできますし、住宅という資産をお金に変えることができるので、不要な不動産があれば、売りに出すのも良い決断です。
ただ、最近では不景気が長く続いており、売却が難しくなっています。しかも、売れたとしても値段も思ったよりも高くはならないことも多いです。

ですが、不動産を手放したいという人も多いでしょうから、不動産売買に置いて、トラブルや失敗を起こさないためにも、知っておいた方が良いことを五つの項目でまとめてみました。
不動産の売却をする際には最低限知っておくべきことですので、ぜひ覚えておいてください。

●物件に関する知識
まずは、自身が売却することになる、その住宅についていくつか知っておくべきことがあります。
自分自身でも調べられることが多いので、不動産会社などに任せずに自分自身で調査をしておきましょう。
・登記内容が正確かどうか
土地でも住宅でも、必ず登記があると思いますが、この登記の、特に地積に関しては実際のものと、登記に記されている物とでは違いが生じてしまっていることが良くあります。
もしも、その違いについて判明させておかなければ、トラブルの原因となりますので、地積の調査は行っておいた方がいいです。
ただ、地積は測量をしなければ正確なものは分からず、測量にはかなり高いお金がかかってしまいますから、とりあえずは法務局で構図を受け取って、隣地との境界や土地の形状を確認しておきましょう。
それを見るだけでも、実際のものと明らかに違うケースがありますから、それぐらい大きな違いであれば、すぐに分かるかと思います。
また、増築をした場合には必ず表題部変更登記を行わなければならないのですが、それをしていない場合も、現況と登記内容に違いが生じます。そちらも確認しておきましょう。
なお、増築をしていれば、買い主から登記を求められることがあります。登記を確認しなければ、融資を受けられないことがあるからですので、もしも違いがあれば、ローンを組めないのはこちらの責任となってしまいますので、必ず確認しておかなければならないと言えるでしょう。

・購入時と現在との法律の差異
建築に関わる建築基準法は、何度も何度も改正が行われています。そのために、購入時と現在とでは法律がかなり違っている場合があります。
建築基準が変更されたとしても、それが現在建てられている家に対しては適用されませんから、変更されたことを知らないことも良くあります。
そのために、買い手に渡したときに住宅を解体するときには、適用されるのは現在の法律であり、現行基準では予想以上に小さな建物しか立てれないというケースも生じてしまうことがあります。
こちらは売り手のデメリットにはなりませんが、明確にしておくことで円滑に話し合いもできるようになりますし、そのことを確認されることもありますので、調べておくことをおすすめします。
・リフォームをするか否か
古い住宅をこれから売り出そうかと思っている方の多くは、リフォームをしてから売却した方がいいと感じるかもしれません。
実際に不動産会社を仲介する際には、リフォームをすることを進められるかもしれません。見た目の良い住宅は、それだけでも買い手がつき易いというメリットもありますから、リフォームすべきだと感じるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
リフォームには当然お金がかかります。もちろん、解体をする場合にもお金がかかりますが、そのお金を売却することで回収できるとは限らないのです。
そもそも、買い手は新しい綺麗めの住宅を購入するのであれば、リフォームをした中古住宅よりも、新築住宅を選ぶ傾向が高く、中古物件は中古物件で、自分自身でリフォームを行うこともできるので、その目的で探していることもあります。つまり、リフォームをして住宅を綺麗にしても、それで確実に住宅が売れやすくなるとも限らないのです。
どちらかと言えば、リフォームを売り手が行うのは、数少ない買い手の需要を逃してしまうリスクを背負うので、売り手がリフォームをするのは止めておいた方がいいとも言えるのです。
そもそも、リフォームをするよりも、売値を差し引いた方が買い手にとっても嬉しいので、リフォーム代を支払うのと同じ値段を差し引いておいた方が、売れる可能性は高いかもしれません。
・ローンを完済できなければ売れない
現在、住宅ローンを抱えながらも、その住宅を売ろうとしているのであれば、売却益を利用して、そのローンを返済するつもりだと思います。
ローンは完済しなければ、その不動産を売却することはできません。なぜならば、ローンが残っていると、その不動産には抵当権が設定されており、抵当権を無くさなければ、買い手が付くことがないからです。
抵当権は、ローンを支払えなかった時に、設定されている土地を差し押さえすることのできる権利なので、買い主にとっては他人のローンのせいで、自分の住宅を差し押さえられるリスクを背負わなければならなくなります。それは明らかに買い主にとって不利ですので、少なくともローンを完済することは、不動産の売却では必須事項だと覚えておいてください。
●売却価格に関する知識
売却価格はできるだけ高い方がいい、そう思うのも仕方のない事ですが、実際にはそこまで高い値段では売却できません。少なくとも住宅ローンがあれば、それを完済できるくらいの値段は付きますが、それ以上になるとよほど高く売れるケースのみしかあり得ないでしょう。
・査定価格と実際の価格
売却をする際には、不動産会社とのやりとりが必ず必要になりますが、その際に最初に行われることが、査定による査定価格の設定です。
査定価格が思ったよりも高く、これぐらいの値段で売れると考えれば、十分に利益がでるじゃないか、と思われるかもしれません。
しかし、査定価格と実際の売却価格は、同じ価格にはなりません。査定価格はあくまでも、売れそうな値段です。しかも、不動産会社に査定をしてもらっても、その際にはまだ仲介の契約や、買取の契約などを結べてはいないので、査定はその他の不動産会社からも受けられます。何社からも査定価格を出してもらえるのですが、そのような性質があるために、査定価格を出す不動産側はぜひともわが社と契約を結んでほしいとアピールするために、査定価格を高値で通達する傾向にあります。
相場での価格で提示されれば、その不動産は信頼できるかもしれませんが、上記のような営業的な価格を提示する不動産会社とうっかり契約をしてしまうと、売れ残るケースも良くあります。
査定価格はあくまでも売れそうな価格であり、その価格での販売を確約するようなお金ではない、ということを覚えておきましょう。
また、先ほど相場での価格と述べましたが、不動産の相場は非常に分かり辛い物で、いくつかの不動産会社に査定をしてもらうか、似たような不動産を探して、どのくらいの値段で売却されているかを調べなければ、算出することはできません。
査定価格は確定された売却価格ではありませんが、相場を調べることもできるので、それなりに重要です。気を付けるべきことは、査定価格を過信しすぎないことです。
・早くも高くも売れない
不動産の性質として、不動産は時間が経つごとに値段の低下する、経年劣化と言うものがあります。つまり、高く売るためには早く不動産を売る必要があると言えるのですが、それはまずあり得ません。
高く売りたいと思ったとしても、高い値段で購入してくれるためには、よっぽど不動産周りの状況が良くなくてはいけませんし、早く売ろうと思っていても、不況の影響もありますから、安い値段で売却をする以外には、買い手を見つけやすくする方法もありません。
ですので、この二つを両立させることは極めて難しいので、少なくとも高く売れるということは諦めた方がいいでしょう。
・二種類の売却方法
不動産の売買の方法は、不動産会社による仲介と、買取の二種類があります。仲介は、不動産会社に買い主を探してもらう代わりに、仲介料が発生する売却方法で、不動産売却では最もポピュラーな売却方法です。
買取の方は仲介手数料は発生しません。売り主からお金が発生することはなく、売り主は一方的にお金を受け取ることになります。
仲介では買い主が現れないと不動産を売却することができないので、その分のリスクを背負います。リスクを背負うのであれば、確実に不動産を購入してもらえる買取の方がいいと思うかもしれません。
しかし、買取には買取のデメリットがあります。それは、買取価格が仲介の場合の六割程度まで落ち込んでしまうことです。
価格面では買取の方が圧倒的に不利で、仲介は売却までに時間がかかることもありますが、それでも十分なお金が手に入ります。
どちらを選ぶかは、個人ごとの事情によりますが、両方ともをうまく活用する方法もあります。
例えば、初め仲介として売り出し、買い主を募り、価格が下がってもなお買い主が現れることが無ければ、買取に変更することです。そうすれば、少なくとも相当お金が落ち込むことは無く、一応は不動産を売ることができます。
●売却における費用の知識
なお、売却に関しては不動産への仲介手数料、売却益が出た際にかかる税金、売却益が出なくともかかる税金、その他に売却し易くするためにかかる費用があります。
少なくとも仲介手数料と税金だけは必ず発生する費用となりますので、どのくらいの費用が掛かるかを事前にシュミレーションすることが可能です。
・仲介手数料について
不動産へ支払う仲介手数料は、建築業法によって上限が定められています。上限は売却価格によって異なりますが、400万円以上の売却価格となる場合には、売却価格に3%をかけた値段に、6万円を加えた値段が、仲介手数料となります。
なお、不動産に対して支払うお金は仲介手数料のみです。広告費や営業費などは、完全に不動産会社が負担するもので、こちらから特別な広告を依頼することが無ければ、追加料金を請求されることはありません。
また、仲介手数料は売買契約が成立することがなければ発生もしません。
・発生する税金について
不動産を売却する際に発生する税金は、大きく分けると3種類に分けられます。そのうちの一つは、売却益が発生することがなければ発生せず、二つは必ず発生する税金となっています。
必ず発生する税金は、印紙税と登録免許税です。印紙税については売買契約が結ばれた際に作られる売買契約書に貼りつける収入印紙を購入することで支払われる税金です。
売却益によって、発生する金額は変動しますが、高くとも数万円程度ですので、多額の支払いにはなりません。
登録免許税も同様に、多額の支払いにはなりません。こちらは登記の際に発生する税金ですが、主な登記となる所有者移転の登記費用は、基本的には買い主が負担することになるので、そちらは考えなくとも結構です。
ただ、ローンが残っており、抵当権を外す際に発生する抵当権抹消登記と登記上の住所が現住所と違う場合に発生する住所変更登記に関しては、売り主が負担することになります。
どちらも不動産一つに付き1000円と格安の支払いで済むのですが、登記をする際には司法書士に依頼をすることが必須になりますので、司法書士代として1万円くらいはお金がかかりますので、覚えておいてください。
最後の税金は譲渡所得税です。こちらは、売却益が発生した際に課税される税金ですが、承徳所得税として、所得税と住民税が加算される仕組みになっています。
それぞれに、所有期間が5年以内と5年を超える場合とで、課税率が違っています。5年以内であれば、所得税、住民税の合計で39%、5年を超える場合は合計で20%と税率が2倍近くも差があるようになっています。
ただ、現在の不動産事情を考えると、譲渡所得が発生する可能性はかなり低く、これらの課税額を決定するときには不動産の所得比が関わるのですが、売却益に5%かけて求めることになり、ほとんどが売却益そのままに課税されるものと考えてよいでしょう。
なお、この税金については、個別で確定申告を行わなければいけませんので、納税漏れをしてしまわないように気を付けましょう。
・土地と家に高額の費用が掛かることも……
なお、不動産を販売する際には、売れる状態にするために、費用が掛かることがあります。そのままで売れるのが一番ですが、そのような可能性は極めて低く、売却のための努力だと思って、そのお金を負担するのが、一番効果的なこともあります。
家の場合は、リフォームをする場合もありますが、多くはハウスクリーニングを利用することになるでしょう。最低でもハウスクリーニングで住宅を綺麗にしてから明け渡すのが、最低限の礼儀です。
時には大規模なリノベーションをすることもありますが、そのような場合にはかかる費用も高額になるので、費用に上乗せをすることも可能です。
ただし、費用を上乗せするとそれだけ買い主が付き辛くなりますので、多くの方は自腹を切っています。
土地の場合には、測量をしなくては売れないケースがあります。それは二つあり、一つは現在の地積が登記簿上の地積と異なるときです。地積が実際に大きくなれば、売り主は安く売ることになり、小さければ買い主が支払う料金が高くなるので、トラブルの原因になります。
また、もう一つのケースは境界が不明瞭であるときです。土地を販売するときは、境界画定は必須の作業ですので、確実に測量をしなければなりません。
測量費は数十万円が相場ですので、かなりのお金がかかることを覚悟しましょう。また、境界が不明瞭になり易いのは何代も受け継いだ古い土地ですので、そちらを売却する予定であれば、必要な費用になります。
●不動産会社選びの注意点
・契約の種類
不動産売買では不動産会社との関係は必要不可欠です。特に仲介で販売する場合には、購入希望者を仲介してもらうために、媒介契約というものを結ぶことになります。
媒介契約には3種類、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約があり、専属専任から一般に向かって拘束が緩くなります。
多くは専属専任契約を結ぶことになりますが、専属専任契約を結ぶ際にはその不動産会社がその契約を結んでも大丈夫かを見極める必要があります。拘束が最も強いために、時に非常に厄介な問題を抱えることもありますので、気を付けましょう。
なお、一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約できるので、不動産会社を競合させたり、広く購入希望者を募りたいときにはおすすめです。
・どちらの契約が良いかは担当者次第
不動産会社に仲介をしてもらう際には、担当者に営業を行ってもらう必要がありますが、営業に対してやる気のない担当者もいます。
そのような人に当たってしまったときに、専属媒介契約を結んでしまうと、その期間だけを無駄に過ごしてしまうことにもなりかねません。
一応、専属専任媒介契約、専任媒介契約はそれぞれに定期報告が義務付けられていますが、その報告金管に営業活動や問い合わせの有無を聴取することは可能です。
もしも、手ごたえが無さそうであれば、解約をして別の不動産会社に依頼をした方がいいケースも、一般媒介契約に変更して、他の不動産とも契約をした方がいいケースもあります。
ですので、担当者がどのような人かは注意をして見ておき、不安ならば初めから一般媒介契約にしておいた方がいいかもしれません。
・大手業者を選ぶ際の罠
また、不動産会社を選ぶ際に、端的に安心できるからと言う理由で大手の不動産会社を利用するのは、思わぬ罠に引っかかってしまう恐れがあります。
確かに、大手はノウハウも顧客数も多いので、信頼できる大手もあるにはあります。ところが、不動産の仲介を行う際には、売り主と買い主の両方を一つの不動産会社が仲介する両手取引を行うことがあります。
この両手取引は、利益を上げやすいために、大手でもかなり行われていることであり、本来ならばレインズというネットワークを使って、他社との提携を計るところを、他社からの問い合わせを遮断する囲い込みによって拒絶する場合もあります。
両手取引をされると、それだけ不動産の売却までに時間がかかってしまいますので、売り主にとっては明らかなデメリットとなってしまいます。
両手取引の方法としては、先ほども述べた通り、レインズに登録をしないことや、登録をしたとしても、のちに削除することが挙げられます。
登録をしないことは法令違反であり、登録をして登録証明書を売り主に対して渡すことが義務付けられていますが、そののちに削除されてしまったら、登録をしているものと勘違いしてしまいます。
さらには、レインズは他社からの問い合わせに対して商談中を理由に断ることができるのですが、こちらも商談中でないのに断ることが良くあります。
一応禁止規定は設けられていますが、実効性には乏しいようです。
レインズに登録しているかどうか、きちんと他社から取引ができるようになっているかは、他社の不動産会社に確認してもらうことができます。その場合は両手取引をしようとした会社とは手を切って、確認をしてもらった不動産会社と契約を結び直した方がいいかもしれません。
●他にも知っておくべきこと
その他に、不動産売却に関わることで重要なことを三つ挙げておきます。これらに共通することは、確実に生じる問題ではありませんが、発生した場合にかなり面倒なことになることですので、取引をする前から知っておいても損はありません。
・契約破棄をする際に発生するお金
まず、売買契約を結んだからと言って、確実にその不動産が売れる訳ではありません。買い主から破棄される場合もあり、その際に備えて買い主から手付金が支払われることで、そちらは対処をしています。
しかし、買い主が破棄できるということは売り主からも破棄できるということでもあり、そうなった場合には、手付金を返却するほかに、同じ金額の解約金を支払うことになります。
契約破棄をする理由はいくらでも考えられますので、もしもの時にはお金がかかると覚えておきましょう。
・ローン特約で契約が破棄されることも
不動産を一括で購入するような家庭はそこまで多くはありません。それゆえに、住宅ローンを組んで購入するのが一般的ですが、もしも買い主がそのローンの審査に落ちてしまった場合には、当然その売買を行うことは不可能です。
そのために、ローンの審査に落ちたら契約を解除することのできるローン特約と呼ばれる特約が儲けられており、こちらは売り主には全くメリットはありませんが、買い主にとっては、ローンが組めなくなったときに大きなデメリットを被ってしまうために、ローン特約を設けなければ売買契約を結ぶことができないことが多いので、覚えておきましょう。
・売却から1年未満は庇護責任がある
無事売却を完了すれば、その不動産は買い主の所有物になりますが、売却から1年間のうちに、物件に不具合が発生した場合は、その不具合に関して売り主が責任を負う瑕疵担保責任というものがあります。
こちらは契約によって期間を短くすることもできますが、協議によって決められるのは数か月から1年程度が、瑕疵担保期間の一般的な長さになります。
また、売り主に不具合を隠していた場合には期間が経過していても、責任を問われますので、不具合については必ず報告をしておくようにしましょう。
●まとめ
不動産で儲けを得ることは難しいですが、動く金額は非常に大きなもので、費用や税金も当然高い金額になります。
そのために、トラブルなども多いので、お金に関する知識は特に事前に仕入れておくべきことです。
まだまだ他にも査定、法律、契約関係などについても覚えておくべき知識は多く、これらを何も知らずに、全てを不動産会社に丸投げしていると、こちらもトラブルの元になりますので、必ず自分自身で知識を仕入れておきましょう。