アベノミクスの製作の一つ、農業改革の中に「農業バンク」と呼ばれる制度があります。この農業バンクがいったいどのような制度で、どのような実績があるのか、説明したいと思います。

●農地バンクとは

農業バンクは、不要な農地を集め、それを農業経営者に提供していく仕組みとなっており、各都道府県に設置された農地中間管理機構が役割を担っています。そもそも、なぜこの農地バングが日本に必要になったのか、その背景に迫って見ましょう。

農業が下火になりつつある日本

戦前の日本の産業は主に農業でした。戦前は地主と小作人の関係によって農業を行っており、海外には劣るものの、大規模な農業がおこなわれていました。
ところが、戦後になってからは農地改革により、政府のメスが入ってからは、農地は小作人へと分配され、小作農から自作農への転換が行われることになりました。
自作農になった当初はまだまだ、農業は活発に行われていました。初めこそは農村から都会に出ていく人はそこまでおらず、農村では農道や用水路などを強要するために、硬い共同体が結ばれ、自作農ではありながらも、農業は農村単位で行われていました。

しかし、時代がどんどん進むにつれて、耕作放棄地がどんどん増えて行きました。社会の情勢が変わったことで、農業は高齢者が行うものになってしまい、その高齢者もいつまでも農業を続けられるわけも無く、農家を辞める人も多くなりました。農地は代替わりや売買によっても、所有者がどんどんと変わっており、複数の農地を持っていても、バラバラの場所に複数置かれている、という状況も出来上がりました。

このような現状が、日本の農業の生産効率を悪くしていることもあり、農業の競争力は一気に低下してしまいました。その対策としては、近場の農地を手に入れることなのですが、日本では先祖代々続く土地を守ろうとする意識も高く、効率を上げようにも全然うまくいかないため、農業全体のコストが高くなってしまい、国産農作物は値段を上げ、なかなか売れなくなってしまいました。

売れない農作物を作っていても、生活ができるわけもありません。その結果、耕作放棄地もどんどん増えて行ってしまいました。
当然、農家が減れば、農地も減り、食糧自給率も低下します。食糧自給率がいつまでも低下したままでは、日本は食料を調達するために輸入に頼るしかありません。
このような現状を打破するために、日本の食料自給率を上昇させるために作られたのが、この農業バンク、というわけです。

農地バンクで農業の活性化を

農業バンクは、安部政権の掲げる「攻めの農業」の一つであり、現在分散化されている農地をまとめ上げて、効率よく農業を行うことで収入を増加させることを目的としています。
現在農地を持っている農家から、土地を借りることで、それらをひとまとめにして、新たな経営者に貸す、というのがこの農業バンクの簡単な仕組みです。

この政策は、個人によって貸し付けるのではなく、行政が仲介に入って貸付を行うことで、高い安心感を与え、その上で農業を効率化させるものです。
従来は農地の貸付などはほとんど行われておらず、その仲介となる受け皿もなかったので、基本的には売買で行われていましたが、土地を手放したくない層がいたために、農業を効率化させることはできませんでした。
ですが、貸しつけるということは、結局は農地が返ってくることですので、自分の土地を守りながらも、農業を効率化できる制度が必要と判断されて、農地バンクが出来上がったのです。

以上のことをまとめると、農地バンクの目的は大きく分けて三つに分けられます。

まずは、農地の集積です。こちらは農業のバラバラの農地をひとまとめにして、効率を上げる効果があるとされています。さらに言えば、耕作放棄地までも取り込むことで、使える農地を増やす役割も持たせています。

二つ目の目的は、農業経営の規模の拡大です。小規模の農業をいくつもの業者が行うよりは、一つの区画をまとめて一つの業者が行う方が、生産性は高まります。これは現在の日本の小規模農家のデメリットを大きく無くすことができると言えるでしょう。

そして、最後の目的は、新参入の業者を増やすことです。少なくとも、現状の問題の多くは、農家の高齢化によって起こっていることがほとんどで、農家の担い手がなかなか現れない現象を起こしています。
ですが、上記に挙げた農業の規模が拡大することで、お金の周りが良くなり、若年層の個人、または企業などが参入することによって、農業へ若い血が入ってくることも予想されます。何はともあれ、新規参入者が現れなければ、農業はすたれていくだけですので、これは何よりも大きな目的だと言えるでしょう。

農地バンクの制度について

以上のような背景、および目的をもって創設された農業バンクですが、その制度はいったいどのようなものになっているのか、ということについて次は触れて行きたいと思います
農地バンクは、おもに農地を持て余している農家を出し手として、その農地を借り上げて農業バンクに集めます。そして、集めてひとまとまりになった農地を、今度は大規模農業を行いたい農家、つまりは受け手に貸しだされる、というのが基本的な制度の仕組みになっています。

つまりは、この出し手と受け手が存在していなければならず、出し手にはバンク側から賃料が支払われ、受けては賃料をバンクに支払うことで成り立っています。
比較的うまくいきそうな制度のように見えますが、実際にはそこまでうまくいっていない現状があるようです。
現状が良くならない理由としては、以下の二つのことが挙げられます。

・10年以上の借り上げ期間
まず一つは、出し手が農地を貸し付ける期間が、10年以上と定められていることです。受け手にとっては、10年以上定期的な収入が入ると考えれば、決して悪い取引ではないと言えるかもしれません。
しかし、10年以上の期間が長いと感じるか、短いと感じるかは受けての裁量次第です。当然途中で返してもらうこともできず、その期間中に何かしらの別の活用方法を思いついたとしても、貸しつけている期間が終了するまでは、農地が戻ってくることはありません。

このような多少の不自由さも、農地バンクが積極的に使われていない一つの理由だと言えるでしょう。農地を持っている方の多くは高齢者となっていると思いますが、そのほとんどの方は、将来的に使う予定が無い人もいるかと思います。しかし、高齢であるがゆえに、相続のことも考えると、もしかしたら、子供が将来農業を行うかもしれませんし、売りたいと考えるかもしれません。けれど、それらを行うためにも、農地バンクに貸し出してしまっていると、期間が終了するまでは待たねばならず、そのことまでを視野に入れると、なかなか農地バンクを利用すべきかどうかの判断を渋ってしまうことがあるようです。

・受け手と地域
また、農地バンクはそもそも受け手がいなければ、成り立つことのない制度となっています。仮に、農地を農地バンクへと貸し出していたとしても、受け手が来るまでの期間に、農地を維持管理してもらえるわけではなく、そもそもの収入がありませんから、賃料も支払われることはありません。
もちろん、受け手の候補が現れたとしても、その受け手が無事に農地を借りることになるとも限りませんから、結局貸し出したとしても、受け手が見つからなければ1年か2年程度の短い期間だけ、維持管理を代理で行ってもらっただけで、所有者に返還されることになります。

少なくとも、農地バンクはあくまでも出し手と受け手の仲介を行うだけであり、不動産会社のような維持管理を行ってくれるという制度ではないということが言え、確実に出し手に利益が返ってくるとは限らないのです。
また、賃料に関しても、地域によって異なっています。農業は自然に左右されるもので、気候や地形によって、農業に向いているか向いていないかが決まります。
さらに、賃料を設定する上江で優先されるのは受け手です。農地バンク自体の目的が農地を集積化し、利用率の向上を図り、新たな経営者に渡して、農業を活性化させることですから、出し手が儲けることは二の次なのです。
つまり、受け手が設定した値段で賃料が決まる傾向にあり、地域の水準などで賃料が設定されることは殆ど稀で、出し手にとっては安定収入はあるものの、その収入が十分な値段になることはあまりなく、場合によってはタダ同然になるような可能性も秘めているのです。

少なくとも、農地バンクは税金によって運営されているので、利益よりも実績を重視しますから、いかに契約を結ぶかが重要とされています。
それゆえに、高い賃料を要求するような出し手を優先するよりは、低い賃料でも貸し付けてくれるような、農地の扱いに困っている出し手を探した方が効率的なため、出し手の利益を考えることなどほとんどありません。
そのような現状もあるために、農地バンクを利用するよりも別の活用方法を行った方がいいとも考える方も多いと考えられるのです。

農地バンクのメリットデメリット

農地バンクの仕組みをいくらかご紹介しましたが、決してメリットが無く、デメリットばかりではありません。デメリットももちろんありますが、いくつかのメリットも挙げられますので、それらをしっかりと吟味して自身の持っている農地の活用方法として適しているかどうかを、将来設計も見据えた上で検討する必要があると言えます。

・メリットについて
メリットは全部で五つ挙げられます。
まず一つ目のメリットとしては、不要な農地を活用することができることです。特にこちらは、農地を持て余しているという方にとっては、かなり重要なメリットだと思います。
実際に高齢化していることや、農地を相続したはいいけれども、近くに住んでいないことなどから、全く活用をすることができずに、農地の管理も全く行えていないような所有者は結構な数がいるようです。
少なくとも、農地があれることだけを防ぐことぐらいしかできない農家も現状ではかなりいるため、収入はほとんどなく、手間とお金ばかりが掛かっていること現状もあります。
しかし、そのような最低限荒れていない耕作地であれば、農業バンクが借りる対象になりうるので、貸しつけることは可能です。また、農業委員会は、農地利用状況調査で再生不能判定の可否を行っており、その基準を満たしていれば、例え耕作放棄地であっても農業バンクに貸し付けることも可能です。
ですので、不要な農地があり、耕作も何もできていないというのであれば、収入は多くないかもしれませんが、活用する方法の一つとして農業バンクの利用を視野に入れる余地があると言えるでしょう。

もう一つのメリットは、自分自身で受け手を探す必要がないことです。自分自身で貸し付ける場合には、個人で探さなければならず、借りても個人となるのがほとんどです。
けれど、農地バンクであれば、周辺の農地と統合して、大きな区画にまとめ上げた上で、法人への貸し出しも行えます。実査には公募を行いますが、法人の公募などは個人ではなかなか実現することができませんので、非常に大きなメリットであると言えるのではないでしょうか。
また、税金面に関しても農業バンクをすることによって得られるメリットがあります。
もしも、耕作放棄地として認定されてしまった際、税金が上昇するという制度が儲けられたことはご存知でしょうか。
耕作放棄地の問題を解消するために、このような政策が施行されているのですが、ただ単に農地を管理し続けていても、いずれは管理できなくなり、耕作放棄地となってしまうことも十分に予想できることです。
つまりは何もしない農地をただ単に保持していたら、余計に税金を取られてしまうリスクを背負い続けるだけですので、農地バンクへ貸すことができれば、耕作地として利用してもらえるために、増税の対象から外すことができるのです。無駄な出費が無くなると考えると、これもメリットだと言えるでしょう。
次は、賃料と協力金が収入としてはいることです。賃料は先ほど述べた通り、バンク側から支払われるお金です。それに加えて、農地の広さに応じて交付される協力金と言うものが支払われます。
協力金は、政府の改革への協力と言う名目で支払われるものであり、農業バンク以外でも補助金などとして支払われるので、ありがたく頂いておきましょう。
そして、最後のメリットは貸し出した農地も結局は返ってくることです。原則として10年以上は返ってこないものの、期間満了によって必ず農地は返ってきますので、将来的に別の活用方法を思いついたとしても、安心です。
また、返還されても困ると言う場合であっても、受け手が聞こうと再度契約を望んでいれば、出し手からももう一度契約を結ぶことができますので、受け手の経営が上手く言っているのであれば、いらない農地をまた管理することになる心配は無用と言うことになります。

・デメリットについて
今現在、農地バンクの活用に関してはお世辞にも成功しているとは言えません。まだまだ新しい制度であるために、活用例自体も少ないことも指摘できますが、広く知れ渡っている制度でもなく、知っていたとしてもデメリットがフィーチャーされているために、出し手が渋っていることも、大きな影響を与えているとも言えます。
上述の通り、メリットもいっぱいあるのですがデメリットがあることも確かですので、そのデメリットについても、誇張されたものではなく、正確に知っておいた方が良いでしょう。

デメリットは全部で四つ挙げられます。

まず一つは、借り手が誰になるかが分からないと言うことです。貸し出される土地に関しては、上述の通り公募されるのですが、その公募する相手が誰になるかは事前には分かりません。
農地に関しては、農家が愛情をこめて育てていく性質があり、いくら経済のためとはいえ、顔も名前も知らない相手に、自分の土地を貸すのは嫌だ、と思うことも珍しくはありません。
特にこのような傾向は、高齢者に多く、農地バンクが使われていない大きな理由となります。ただ、経済のことを考えたり、上記のメリットを思えば、実際には大したデメリットではありませんので、心情的に問題が無ければ気にすることではないことも確かです。

二つ目のデメリットは、確実に借りられるわけではない、ということです。特に、個人がたった一人で、小さな農地を農業バンクに貸したとしても、その先の受け手まで回ることは確実にありません。
そもそも、農地を集積する必要がありますから、広大な土地を貸し付ける以外では、周りの土地も含めて農地バンクに登録されていないと、受け手が名乗りを上げることは無いでしょう。
そのため、もしも農地バンクを使いたいと思うのであれば、隣家との協力が必要不可欠であり、その交渉が上手くいくかも不確かです。中には上記に挙げた通りの、心情的な理由から断られることも多く、なかなか農地バンクを活用できない人も多いのです。

次のデメリットは10年以上は返ってこないことです。この期間貸し出すことが、協力金の交付の条件ともなっています。
10年間はかなり長い期間で、土地によっては開発などが行われて、農地を貸し出すよりも、よっぽどいい活用方法を見つけられる可能性があります。
しかし、10年間返ってこないことは、もしもそのようなチャンスが訪れた時に、それをみすみす逃してしまうことでもあると言えます。
最後のデメリットは、受け手市場になり易いことです。こちらも上述の通り、優先されるのは受け手であり、出し手にとっては大してお金が支払われなくなることが予想されています。
農地バンクが支払う賃料に付いては、受け手との協議によって決められるので、そこに出し手が関わることもできず、このような傾向にあると言えます。もちろん、賃料によっては出し手も拒否できますが、その土地に拘る理由も受け手にはありませんので、どうしても受け手が主導の市場が形成されてしまうのです。

農地バンクの利用方法

農地バンクを運営している、農地中間管理機構は都道府県単位で設置されてはいますが、業務は市町村に委託されています。そのため、農地バンクを利用するためには、農地中間管理機構に直接問い合わせる必要はなく、市町村の農相担当書に問い合わせます。
以下は、その申し出からの流れになります。
・貸付の申し出
まず、農地バンクの窓口になっている、市町村の担当部署や農業委員会などに申し出を行います。貸付希望の際には、専用の用紙が用意されているので、そちらに記入して提出します。
この時点ではまだ、貸付希望者としてリストアップされるだけですので、まだ農地を借りてもらえるわけではありません。
・貸付希望農地への確認
次の手順は、農地バンク側から、その農地が借りられるかどうかを、市町村などの農協委員会などが視察を行います。あまりにも荒廃していない限りは、現状を確認したのちに、希望機関や希望賃料の確認がされます。
ここでもまだ、機構に貸すことはできず、あくまでもマッチングのための期間と希望が聞かれるのみです。
・マッチング
そして、毎年の特定の時期、だいたい6月ごろになると受け手の公募が始まり、受け手から申し込みがあれば、受け手の希望する農地確保が可能か、希望機関や希望賃料を受け手にも確認されます。
そして、出し手との希望があっていれば、そのまま話は進むのですが、基本は条件に合わないために、市町村や農業委員会が間に入った上で、協議が行われます。
・農地バンクによる借受
そして、受け手が農地を借りると見込まれたら、農地バンクは10年以上、その農地を借り受けることになり、農地バンク側に権利取得が発生します。
このことで、受け手に貸し付ける前に耕作放棄地の再生や基盤整備が行われ、そののちに受け手へと農地が渡されます。
これ以降、賃料などが発生するようになり、手続きは終了となります。
●農地バンクの使用例
農地バンクによって使用された農地は、平成26年度で3万1千haと公表されており、これは農地バンクが登場する以前の貸し借り実績の10倍もの数値に上がっており、一定の成果があったと言ってもいいでしょう。
また、大規模経営者や農業法人、集落営農などを行っており担い手に対して、集積している農地の割合である、集積率が約2%以上伸び、50%以上が集積していることも数値として示されています。
ただし、集積目標はあくまでも14万9千haであり、その目標にはまだまだ達していないことが分かると、十分な実績とは言えません。
・受け手の需要と実際の借入面積の差
このように、十分な実績をのこせていない理由として、農地バンクに対する借入希望面積は、実際に農地バンクが集めている借入面積と比べると8倍近くもの差があるからです。
要するに、需要を満たす分の農地が集まっておらず、集まっていても集積化が行われていないので、借り手が募ったとしても、貸し出せるだけの土地が無いのです。
そして、実際にマッチングできているのはたったの10%程度であり、農地バンクがこれからどれだけの活躍をするかは、微妙なところだと言えます。
・イオンによる農地バンクの利用
ただ、そのようなマッチング例の少ない農業バンクの使用例の一つとして、イオングループが埼玉県で米作りを始めたことが一時期話題になりました。
イオングループは以前からも農業に参入していましたが、農地バンクから取り入れた農地は、18haにまで上り、全体の農地面積も300haとかなりの広さになっています。
このような大手企業が農業へ参入している事例は、小規模農家からは多少の賛否はあったものの、農業が活発化すること以外にも嬉しい効果をもたらしました。
それは、同社の新卒採用の際に、農業を行いたいという希望者が多く募ったことです。
農地バンクの目的の一つである、新規参入を増やすことの中には、若年層や青年層が農業に従事できるようにすることがありましたが、こうした大企業が参入することにより、その目的を果たす可能性があることを示すことができました。
農業をする企業を農家と同一視することはできませんが、農業の活性化には一役買うことは間違いないと言えるでしょう。
●農業バンクの現状とこれからの課題
・期待の現れである莫大な予算
農業バンクは、初めにも述べた通り、今の政権にとって重要な成長戦略の一つです。それゆえ、予算を多く積み上げられています。
農業バンクは協力金として支払われる予算がありますが、それだけでも100億円近くが積み上げられていると言うだけでも、相当なお金が動いていることが分かるかと思います。そのほかにも事業費が別枠で設けられているので、100億円以上は確実に動いていることになります。
ところが、上記した通りほんの10%程度しかマッチングが行えていないために、この予算はほとんど使われていないのです。平成26年度までに、協力金の予算だけでも450億円もつぎ込まれたのにも関わらず、使われたのはたったの80億円です。
予算の高さはそれだけの期待度の高さが現れていると言えるのですが、需要に全く答えられていないのにも関わらず、予算だけがつぎ込まれているのは、大きな疑問の残るところです。
それだけ無駄遣いがされていると思うと、何か別のことに使えるのではないかと思うことでしょう。そのような点も含めて、これから改善すべき問題点は山積みとなっています。
・改善すべき課題
何よりも改善すべき課題として挙げられることは、いかに所有者から農地を集めて、集積化することです。これができていないために、需要に応えられていないのは火を見るよりも明らかです。
改善のためには、なぜ農地が貸し出されていないのかを理解する必要があるでしょう。その原因としては三つのことが挙げられます。
まずは固定資産税の低さです。農地は固定資産税が低いのですが、こちらも先に説明した通り、耕作放棄地の増税も決まっており、さらに農地に対しても増税が検討されているので、現状では改善できていなくとも、これから間違いなく改善されることだと言えます。
二つ目の原因は転用売却への期待が高いことです。特に高齢者はバブル期を経験したこともあり、いつかまた土地が高騰するのではないか、または建築が進んで、宅地が増えているのではないか、と思っている人がごく一部ですが存在します。
現状を思えば、そのような可能性はほとんどないことは分かりますが、いつまでも夢を見る人はいるのです。こちらは改善できるかどうかは分かりませんが、交渉の余地はあるかと思います。
そして、最後の現認は農地を他人に使わせることへ抵抗感があることです。
恐らく、この理由で農地バンクを使用していない人が最も多いのではないでしょうか。農村ではお金のことよりも、自分達の集落や農村以外の人をよそ者として嫌う、閉鎖的な傾向があります。
この傾向をどうして崩すか、地権者や地域の要望を受け入り得ながらも、受け手をどのようにしてその農村に受け入れてもらうのかを調整するかが、大きな課題となっています。
現在の農地バンクの動きを見ると、とにかくお金によって農地を集めようとしていると指摘できます。ただ、農地の所有者にとってはお金のことはどうでもよく、それよりも土地を守ろうとする心情の方が強く、農地バンクの意図が全く通じていないことが、制度がほぼ機能していない最大の原因となっているのでしょう。
●まとめ
農業バンクは、従来の農業改革で行われて生きた、農家の保護を重視したものではなく、農業の企業化を狙っています。特に効率化を目指している点が、のんびりと行う農業からかなり外れている事だと言えますが、この政策はこれまでの小規模自作農を根本から変えてしまう政策でもあります。
お金が異様にかかっているので、何が何でも成功させてもらいたいところですが、施行からわずか数年で、失敗していると言う声も上がっています。
ただ、この政策がうまくいくように、これから少しずつ改善されていけば、少なくとも日本農業は未来へ続く新たな一歩を踏み出すことになるでしょうから、これからどのような手法が取られていくのか、注目すべきことだと思います。