田舎暮らしをしたい、という需要はあるものの田舎の住宅や土地を売るのは、非常に難しい事で、実際にそれらが売れているかと言えば、そうではありません。
もちろん立地や利便性なども関わっていますが、それらの影響で地価は下がっているので、需要があるのならば本来は売れているはずです。
それなのに、田舎の土地が売れ辛い現状の理由として、市街化調整区域というものが関わっています。
これは、見えない線が引かれており、その線を超えた先を市街化調整区域と呼び、普通の土地とは全く違う取り扱い方をされているのです。
それが、不動産価格を低下させていたり、売れ辛くさせていたりしている原因なのです。
●市街化調整区域とは
そもそも、市街化調整区域はこれ以上市街地となって、行政や警察の管理のできない無法地帯を増やさないために設けられている制度です。
市街化区域と市街化調整区域を区分することを線引きと言いますが、この線引きをされた土地に関しては、法律上の様々な制限が掛けられてしまっています。
それどころか、その制限が評価の低下を招いていたり、住宅ローンを組めなくさせたり、あるいは減額させてしまっています。
・市街化調整区域に掛けられている制限について
市街地調整区域に掛けられている制限は、建物の建築や建て替え、増築などです。
もしも、これらを行うのであれば、行政から許可を受ける必要があり、それは土地を譲渡された場合であっても変わりません。つまり、買い主にとっては、その開発許可を受けてからでしか、住宅、土地利用を行うことができないため、その手続きの面倒さ、不便さから、田舎であることに付け加えて、市場価格を低下させています。当然許可を受けられない可能性もあるために、買い主は無条件にリスクを背負わされてしまうのです。
なお、建て替えに関しても、集積率や建蔽率などの市街地でもかけられる制限に付け加えて、規模に関する制限も設けられているため、買い手がつき辛く、市場価格を低下させていることも指摘できます。
・行政の開発が行われないことが評価の低下につながっている
また、市街化調整区域は私たち一般の人が住宅などを開発することはおろか行政がインフラなどの整備を行うことにも制限をかけています。
要するに、不便な場所はいつまでも不便なままで、電気や下水道、ガスなどが十分に得られない可能性が非常に高いのです。
このようなことも、買い手が市街化調整区域にある土地や建物を購入することを敬遠する一因となっているのです。
・なぜ、住宅ローンが借りられないのか
一応先に述べておくと、住宅ローンを必ず借りることができあに、というわけではありません。しかし、市街化調整区域では、建築に制限があるため、土地や建物を担保として借りる住宅ローンとはうまくかみ合わないのです。
例えば、差し押さえをすることになったとしても、これまでに述べた通り市場価格が大変低いために、換価してもお金を回収できない、または換価することですらできないこともあるため、金融機関が市街化調整区域へのローンを行いたくないという実情があるのです。
なお、市街化調整区域を購入する方の中には、住宅ローンの審査に通過しない場合は、契約を白紙にする住宅ローン特約を求めることが負いので、買い主が見つかったとしても、特約によって契約解除されてしまうことがありますので、注意しましょう。
・どんな人にならば売れるのか
以上のような特徴があるので、市街化調整区域の住宅や土地は非常に売れ辛いです。しかし、需要は無いわけではなく、住宅ローンを組まなくとも購入できるような予算がたくさんある方や、静かな場所で生活をしたいと思っている方、または制限なども一切関係ない、別の利用を考えている方などが、購入を検討することが多いです。
どうやってそのような方を見つけるかは後述いたしますが、少なくとも絶対に売れないと言う訳ではないので、初めから売れないと諦めてはいけません。
●売り主が知っておくべきこと
市街化調整区域での開発、建築は個人個人によって審査されて許可されています。この審査に通過しなければ、土地を譲渡したとしても、その相手が開発や建築を行うことができない性質があります。
・土地の立地や条件を判明させておく
しかし、そのような性質のある市街化調整区域ですが、許可を得ることができさえすれば、造成や建築は可能です。そのためには、目的に合った申請を行う必要があるのですが、市街化調整区域の中には、開発許可要件が緩和されている土地もあります。
もしも、そのような土地であれば、普通の市街化調整区域よりも売れやすくなる傾向にありますので、事前に土地の立地や現状を確認しておくと良いでしょう。
・条約による区域指定
まず、市街化調整区域の開発を認めているケースとして、条例で指定させていることがあります。許可自体は必要なのですが、他の市街化調整区域とは違って、「誰が」という要件が無く、開発許可を受けてさえいれば、譲渡後に簡単に開発、建築が行えます。
一般的にはその区域は50以上の住宅が一定の間隔で集まっている事や、上下水道が整備されている事、道路に面していることなどが条件としてあり、それらを満たしていれば、区域指定されていることがほとんどです。
ただ、これらはそれぞれの市町村によって違いますので、事前に調べておき、それを満たしているかを確認しておくようにしましょう。
・事業によって開発された区域
また、市街化調整区域の中で、建築などが制限されているのはあくまでも普通の土地n場合で、都市計画事業や土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業などの事業によって開発された土地であれば、建築行為への許可は不要となっています。
ですので、それらによって作られた土地や住宅地であれば、買い主にとっても購入し易い土地だと言えます。
・宅地
宅地であることは、比較的買い主が付きやすい条件となります。宅地であれば、造成は必須ではありませんし、増築の許可が出なくとも、住むことは少なくともできます。
その上、上記に挙げた住宅が密集している地域や、上下水道の整備、道路への隣接などの条件を満たしていることもあり、区域指定をされている可能性が極めて高いため、買い主からの候補に入り易いです。
ただ、宅地であっても、後述するいつから宅地であるか、という条件によっては買い手がつき辛いこともありますので、登記上の地目が宅地でも安心しきることはできないので、注意しましょう。
・農地以外
最も買い手がつき辛いのが農地です。農地は開発許可を得る、得ないと言う問題以前に、営農できる買い主にしか売れない規制がありますし、農業以外で使うためには転用手続きをする必要があります。
しかも、転用するためには、点用語の利用目的において、開発許可がされるかどうかも審査されることになり、そもそも許可が下りなければ、転用することもできず、農地を別目的で購入することほぼありません。
したがって、農地は市街化調整区域の中でも最も売れ辛い土地であると言えるでしょう。
・いつどのようにして市街化調整区域と線引きされたか
なお、市街化調整区域は昭和45年から線引きされたものがほとんどで、それ以前と以降では、開発許可の要件が異なっています。
つまりは、いつに線引きされたかによって規制緩和がされているか、そうではないかというのが違っているのです。
いつに線引きされたかは固定資産税台帳から確認できますので、必ず見ておきましょう。
・線引き以前であれば規制は緩和されている
率直に言えば、線引き前から建てられている家に対しては規制が緩和されています。もともとあった家に対して、新たな法規制をかけるといろいろと不都合ですので、買い主への所有権移転や、買い主が建て替えや増築する場合であっても、一定の条件を満たせば許可を不要としています。
その条件としては、用途が同じであること、敷地が同じであること、規模が床面積1.5倍までの同程度であることが挙げられます。
したがって、買い主にとっては規制緩和されている住宅の方が、その後に建て替えなどができるので、売り易い住宅になっていると言えます。
ただし、線引き前に建てられた家として販売するには、線引き以前に建てられていてその後に「増改築もしていない」ことが前提ですので、お気を付け下さい。
・線引きがされた以降であれば
逆に線引きがされた後に建てられた住宅は、開発許可を受けた所有者が建築した住宅であるとされます。
市街化調整区域の開発許可はあくまでも個人に与えられるものであり、引き継げるのは近親者や相続人だけで、第三者の買い主に売却した場合は、新たに許可を受ける必要が出てきます。
しかも所有者を変更するだけでも再許可が必要なので、買い主としてはできるだけ敬遠したいと思ってしまう傾向にあります。
●不動産会社も売却に消極的
また、市街化調整区域の住宅については、非常に買主が現れ辛く、不動産会社としても手間がかかる割に、売却価格も低いので、仲介手数料も十分には得られません。
よって、不動産会社は市街化調整区域の売却には積極的ではないのです。中には、全く取り扱っておらず、仲介を依頼できない場合も、依頼したとしても、ノウハウが全くなく、複雑な制度であるがゆえに、制度を誤認しており、トラブルが起きてしまうケースもあります。
ただ、不動産会社の中には競争相手がいないので、専門的に行っている会社があったり、比較的明るい知識を持っている不動産会社もあったりしますので、それらを営業地域内で探すのが、市街化調整区域の住宅や土地の買い手を探す、最も適切な方法だと言えます。
また、市街化調整区域だと、隣地の所有者が土地を欲しがっていたり、隣地と一緒であれば売却をし易いという傾向にありますので、近所の方に相談をしてみるといい結果を得られるかもしれません。
もちろん、新築や建て替えができなくとも、資材置き場や駐車場などの利用のために土地を欲しがっている人はいくらでもいますので、売れ辛い条件がそろっていたとしても、初めから売れないと決めつけずに、売却の相談を不動産会社に持ちかけた方がいいですよ。
●まとめ
以上のことから、市街化調整区域の売却にはかなりの条件、買い手にとって不利になる許可の要件などが関わっていることが分かります。
こればかりは売り主にはどうすることもできず、買い主次第で売れるかどうかが変わってきます。
ですが、事前に買い主が許可を得られるかなどを行政などへ相談、照会をしてもらったり、住宅ローン特約などを前提として買い手を募ったりした方が、比較的買い手がつきやすくなると言えます。
それほどにまで、市街化調整区域の売却は難しく、市街化調整区域に詳しい不動産会社に仲介を依頼しなければ、上手に売れない、トラブルが発生する、などの不都合なことが起きてしまいますので、細心の注意を払うように心掛けましょう。