土地や住宅を売却しよう、と思っている方にとって気になるのはお金のことですね。自分の物件が一体いくらになるのか、想像してついつい期待を膨らませている方も多いかと思いますが、自分にとって嬉しい利益が出る前に、売却と言う取引の際に必要になる支払いについて知っておいた方がいいでしょう。

その支払いは税金です。日用品や食品を買ったり、販売したりする際に税金が生じるのと同じで、お金が関わることですので、住宅の売却に際しても税金は必ず発生してしまいます。
その税金を知っておかないと、脱税と見なされて、何倍にも跳ね上がった税金を支払うことになったり、最悪の場合は逮捕されてしまうかもしれません。

実際に住宅を売却してしまってから、税金がどのくらいになるのか分かればそれで十分ですが、事前にどのような税金が発生し、どのくらいの値段になるのか、その税金の割り出し方を知っておくと、実際に売却をする際にあたふたして、何度も調べ直す必要もありません。
ですので、今回紹介する住宅の売却に伴って発生する税金と、その割り出し方をぜひとも、覚えておくことをおすすめします。

売買契約書に貼る収入印紙の「印紙税」

印紙税は、売買契約を行った際に、その契約書に貼りつける収入印紙を購入する際に発生するお金です。
ですので、実際には税金を支払っているという感じは全くしませんが、この印紙税は売買契約書に記載されている金額によって、どのくらいのお金がかかるかが違っていますので、査定などをしてもらって、相場が分かった時に、だいたいこれぐらいの印紙税がかかると目安を付けておくと良いでしょう。

物件の売却でかかる印紙税は1万円の場合から、50億円を超える場合まであります。本当は一覧として挙げておきたいところですが、マイホームや土地などを売却する一般世帯の個人による物件の売却においては、相場が500万円から1億円くらいです。
よって、実際にリストアップしたときに覚える必要のない項目がたくさんありますから、こちらでは、500万円から1000万円まで、1000万円から5000万円まで、5000万円から1億円までのケースのみを紹介したいと思います。
それぞれ、順番に10000円、20000円、60000円です。ただ、平成30年までに売買契約を結ぶことができれば、軽減措置が適用されるので、この値段が半額されます。

よって、平成30年までならば、5000円から30000円くらいがかかると覚えておきましょう。

また、こちらは売買契約を成立させるための書類にかかる納税となっているので、もしも、契約金額を変更することになった場合、その変更の契約書に対しても、課税がなされるようになっています。そちらはかなり変則的な課税がなされますので、税理士などに相談をすると良いでしょう。

なお、この印紙税がどのくらいかかったのかは、必ず押さえておきましょう。領収書や、購入した際のレシートを補完することをおすすめします。なぜなら、この印紙税は後述する譲渡費用にも含まれ、これを覚えておかないと場合によっては損をしてしまうことがあるからです。

売却で利益が出た時にかかる税金「譲渡所得税」

儲けが出たら、そのお金に税金がかかる、というのは日本では常識の範囲内のことです。ゆえに、物件の売買に関しても、売却利益が出た場合には、売却差益に対して譲渡所得税が加算されます。
譲渡所得税と言っても、そのような名称の税金が固定の割合であるわけではなく、所得税と住民税の二つのことを意味しており、給与所得や事業所得などの所得税と分けるために、このような名称になっています。
そのため、他の税金とは全く違う扱いを受けていますので、それらの税金とは別に納税をしなければならないのです。また、割り出し方も全然違いますので、注意しましょう。
●譲渡所得税額を求めるために割り出さなくてはならないお金
譲渡所得税は、課税される対象のお金が無くては、発生することはありません。今回の場合だと、売却差益となりますが、これはただ単に、売却することで得られるお金ではありません。そもそも、どのようなお金が利益となり、利益とならないのか、というのはただお金を受け取っただけではわかりません。
ですので、譲渡所得税額を割り出すためには、何が売却差益となるのかを先に求めなくてはならないのです。
その売却差益のことを、課税される所得なので、課税譲渡所得とすると、これを求めるためには、以下のお金がどのくらいかを判明させなければなりません。
順不同に挙げていくと、譲渡所得、譲渡収入、譲渡費用、取得費、特別控除額です。その中で、譲渡所得に関しては譲渡収入から譲渡費用と取得費を差し引いて求めることになります。そして、譲渡所得からさらに特別控除額を引くと、それが課税譲渡所得となり、それに税率をかけることでやっと、譲渡所得税額を求めることができるのです。
先ほど挙げた中の三つ、譲渡所得と譲渡収入と譲渡費用については、それぞれ売却によって得られた収入、売却によって負担した費用、取得時の費用と負担した費用であり、それぞれにどのくらいの金額が調べ上げる必要があります。

・譲渡収入
譲渡収入は、そのまま「売却取引で受け取ったお金」と思われるかもしれませんが、実はこれだけではありません。言葉の意味そのままで受け取ると、確かに収入のみを指しているかと思ってしまいます。
しかし、それに加えて、固定資産税と都市計画税の清算金も含めなくてはならないのです。
なぜ、固定資産税などが譲渡収入に含まれるのかというと、固定資産税と都市計画税については売却を行った年度分は「売り主が負担しなければならない」からです。固定資産税の負担義務は、その年度の1月1日時点の所持者であり、同年度中に所有者が変わったとしても、譲渡されるのはあくまでも来年からです。
法律で定められている、と言う訳ではなくあくまでも不動産取引で慣習的に決められていることでしかないのですが、売り主が固定資産税などを支払わないのであれば、買い主も購入しない、という考えもあるため、ある意味で一般化して根付いていることです。
そのような事情は置いておいても、売り主が支払わなければならないお金、としてその年度分は譲渡収入として加算されてしまうのです。
なお、現金以外のもので支払われた場合には、その物品の時価で換算し、売却代金がまだ支払合われていなかった場合でも、売買契約が効力を持った時点で収入として加算されてしまいますので、こちらも覚えておきましょう。
・譲渡費用
譲渡費用は、譲渡のためにかかった費用のことです。こちらは本当に名前の通りです。
ただ、譲渡費用として合算することのできる費用は以下に挙げるものに限定されていますので、それらがどのくらいかかったのかは、後程確認できるようにしておきましょう。
譲渡費用となるのは、不動産会社に支払った仲介費用、登記の際に行政書士などに支払う登記費用、上記に挙げた印紙税などがまず間違いなくかかります。
他に、必要であれば負担することになる、測量費用や解体費用、貸家物件を売却した場合には立ち退き料も合算することができます。
引っ越し費用はこちらには含まれてはいませんので、お気を付け下さい。

・取得費
今回挙げた三つの中で、最も求めることが厄介なのが取得費です。こちらはまず、大きく分けて、二つの費用が該当します。
まずは、購入や建築などに使われた取得代金です。相続したものである場合は、最初その住宅を手にした人が支払ったお金になります。
もう一つが、取得諸費用です。こちらは、仲介手数料、印紙税、登録免許税、不動産取得税のその当時住宅を取得したときにかかった費用になります。
もちろん、測量費や造成費、さらには借入金の利子なども該当し、取得時にリフォームをした場合には、そのリフォーム代も含められます。
以上のことからも分かる通り、そもそも取得費がどのくらいの値段になるのかを求めるだけでもかなり面倒です。いちいち確認するだけでも面倒なのですが、この二つの合計した金額に、さらに求めなくてはならないお金があるのです。
・減価償却費相当額
経年劣化、という言葉を知っている方にはなじみ深いことだと思いますが、建物の価値はそこにあるだけでも、年々減少し続けます。
そのため、取得費を求める際にはさらに、その失われた価値の分だけの金額を差し引かなければなりません、その失われた価値の金額を減価償却相当額と呼びます。
減価償却費相当額の求め方は、「取得費×0.9×耐用年数の1.5倍に相当する償却率×経過年数」となっています。
この中にある耐用年数は、法律によって決められた、建物が使用できるとされている年数で、建物の構造ごとに違っています。木造よりは、石造の方が長く持つ、という至極単純なことですが、この耐用年数が構造ごとに違うということは、わざわざそれらを求める必要があると言うことになります。
一例として、耐用年数の1.5倍とその償却率を挙げておくと、木造の場合は33年、償却率が0.031、レンガやブロック、石造の場合は57年、償却率が0.018と言うことになります。
こちらを求めるためには、売却をする住宅な何で作られているのか、またはその耐用年数、償却率がどのくらいなのかを事前に調べなければならないのです。
・取得費が分からない時は
取得費を求めるのは非常に面倒なことだと、これまでの説明で分かったかと思いますが、これらを知るためには過去の費用を調べ直さなければなりません。
ところが、その費用を記載しているものが残っているとは限りません。つまりは、分からない場合もあるのです。
そのような場合には、取得費は譲渡収入の5%にすることができますので、調べられなくても大丈夫です。
また、取得費が5%以下となってしまうと、それだけ支払う税金が多くなってしまいます。それは売り主にとって大きな損となってしまいますので、そのような場合でも5%とすることができます。
ただ、取得費が5%以下になる場合は、住宅の価値が上がっている場合に限りますので、そうそうありませんので期待はしない方がいいでしょう。
・相続財産に対する取得費の特例
もしも、住宅を売却したときに、相続税が課税された場合には相続税の一部を取得費に加算することのできる特例が用意されています。
相続するのは住宅でも家でも同じですので、どちらの場合でも特例が適用されます。
求め方は土地の場合、建物の場合で違い、土地の場合は相続税に課税相続財産全体に対する土地の合計額をかけた金額、建物の場合は、相続税に譲渡対象の建物の価格をかけた金額となります。
ただ、この特例は相続税の納付期限から3年以内に譲渡した場合に限りますので、それに該当しない方は特例が適用されないので気を付けましょう。
・特別控除
住宅の売却に置いても、いくつかの控除が用意されています。ただ、個人的な住宅の売却では、マイホーム特例という特別控除のみしか適用されません。
ですが、このマイホーム特例は控除額が3000万円と相当大きな控除額となっており、大体の個人による住宅の売却では、全額控除になることが多いです。
また、マイホーム特例という名称なだけあって、居住している住宅を売却したときのみに適用されるものです。ただ、居住用以外の住宅である場合と、住宅を解体した土地の場合には、一定の条件を満たしていれば、マイホーム特例の適用が可能です。
その条件は、居住用以外の住宅であれば、すまなくなってから3年目の年末までに売却すること、解体した土地の場合は、それに加えて、解体から1年未満で売買契約が締結されたこと、買いたいから売買契約までに、駐車場などの他の用途に使用していないことです。
もしも満たしているのであれば、是が非でもマイホーム特例の控除は利用しましょう。マイホーム特例の控除額は上述した通り、とんでもなく大きな値段で、この控除額が無いと、最終的な税金が15倍ほどに跳ね上がることもありますから、かなりの損をしてしまいます。

●譲渡所得の税率は、所有期間で大きく変わる
ここまでで、譲渡所得税額を求めるために求めなければならないお金については述べましたが、最後に税率について説明します。
税率は所得税、住民税それぞれに違う割合でかけられますが、それに加えて、住宅の所得年数によって差が生まれます。
5年以内の所有であれば、短期譲渡所得税率が適用されて、所得税が30%、住民税が9%となっています。
5年を超える所有であれば、長期譲渡所得として、所得税が15%、住民税が5%となります。
それに加えて、平成49年までには復興特別所得税が加算されるので、2.1%の税率が足されます。
ここまででも分かる通り、短期と長期では約2倍近くも税率が違うのです。短期の税率が恐ろしく高いのは、土地を転売して儲けようとしている人から、税金をたっぷり回収するためと言う目的があるので、仕方のないことですが、ここまで違うと5年以上は所持している住宅を売却した方がいいと思うでしょう。また、5年以内の所有なので、ちょうど5年所有しているときの、1月1日であっても、適用されるのは短期譲渡所得税率になります。
なお、10年以上所有しており、ある程度の要件を満たしていれば、6000万円以下の売却益に限って、約14%に税率が下がります。
●譲渡所得の所得税は確定申告しなければならない
異常に挙げたお金を求めて、それを上記に挙げた方法で計算すれば、譲渡所得税が分かります。
ただ、譲渡所得税の中でも、所得税と住民税は支払い方が違います。住民税は翌年に市町村から請求されるので、その時になって支払えば大丈夫です。
所得税はその年の2月から3月の中盤までに確定申告をしなければいけないので、申告漏れがないように努めなくてはなりません。
確定申告をしないのは論外ですが、税率を求める際に支払わなければいけない金額に満たないと、申告漏れとして、後程請求されたり、何倍にも跳ね上がったペナルティの税金を支払うことになりかねませんので、注意しましょう。
また、過剰に申告してしまった分は、税務局などから一切連絡も来ずにそのまま税金として支払うことになってしまいますので、過剰に支払ってしまうのは明らかな損になります。
申告漏れも、過剰支払も防ぐためには、自分自身だけで申告書を作らずに、税理士に相談をして、作成するのが一番確実な方法です。
納税額を抑えて、リスクを少なくするだけでなく、手間を省くこともできますから、多少の出費は我慢してでも、税理士に依頼をするようにしましょう。
なお、以下に挙げる税金に関しては、確定申告をする必要はなく、印紙税と同じくその都度に支払う税金となります。
●登記免許税
登記は、不動産売買で必ず行われることですが、基本は買い主が負担する所有移転登記のみなので、売り主が登記免許税を負担することは必ずあると言う訳ではありません。
しかし、現住所がその住宅でない場合、売却時に引っ越しをした後で、印鑑登録証明書の住所と、登記上の住所が違う場合には住所変更登記、住宅ローンを売却費用で完済する場合には、抵当権抹消登記、という二種類の登記を支払わなければなりません。
ただ、どちらも1000円というかなり安い金額で、両方とも不動産1つにつき支払うことになり、不動産分だけを支払う場合にはたった1000円となります。土地と家両方ともに、樹諸変更登記と抵当権抹消登記を行う場合には、土地と家分の2000円となりますので、注意しましょう。
●仲介手数料にかかる消費税
上記に挙げた不動産会社への仲介費用の中には消費税が含まれています。その消費税は8%か、10%のどちらかになりますが、仲介手数料は売却価格によって違います。
不動産会社の仲介手数料は三パターンあり、200万円までの部分に対しては5%、200万円から400万円までの部分には4%、400万円以上の部分に対しては3%となります。
その部分ごとに仲介手数料が発生する、というシステムになっているので、300万円で不動産が売れた場合には、200万円までに5%と消費税、残りの100万円部分に4%の仲介手数料と消費税がかかるようになっています。
ただ、こちらも計算の必要は特にありませんので、不当に仲介手数料を取られていないかを確認するときぐらいに計算すると良いでしょう。
また、不動産の売却に置いては、別の消費税がかかる場合もありますが、その消費税は事業用の不動産を売却したときのみに発生する消費税となっていますので、今回のような個人の土地や住宅の売買では完全に無関係です。

●まとめ
以上の通り、不動産の売却に置いてはたくさんの税金がかかっています。中でも、印紙税や登録免許税、消費税については必要な出費と言ってもいいでしょう。
もしも、節税をしたいのであれば、譲渡所得税しか節税を行うことはできません。しかし、これまでに説明して分かるかと思いますが、既に売却済みだと節税は不可能なので、節税をするのであれば、所有期間を5年以上にする、などの売却をする前から準備をする必要があります。
ただ、そのような節税が必要かどうかは、かなり微妙です。なぜならば、住宅はその時々によって売れるかどうかが変わります。要するに購入希望者が売りに出したときに現れてくれるかどうか分からない、ということです。
さらに言えば、経年劣化によってそもそもの売却額が低下する、という性質がある以上、早く売ってしまわないと、今手にすることのできる利益をみすみす逃してしまうことにもなりません。
利益が出た場合には、その利益以上の税金が取られることは絶対にあり得ませんので、何よりも優先すべきことは、住宅を売って利益を出すことを考えることです。ですので、節税は二の次と考えておいた方がいいでしょう。